ALDEN純正シューツリー、「シンプルさ」に隠された真意とは?

「仕事の成果を出す、装いの専門家」
紀村昌彦です。

私がこれまで見てきた数多くの革靴メーカーの純正シューツリーは、その靴の木型(ラスト)に合わせて、非常に立体的に、かつ細かく調整できるよう設計されているものがほとんどです。

しかし、ALDEN(オールデン)の純正シューツリーは、驚くほどシンプル。

バネ式のシングルチューブタイプで、一種類しか存在しません。

もちろん、このシンプルなシューツリーが、オールデンの全ての靴にジャストフィットするわけではありません。

下の写真はアメリカで購入したコードバンのオールデンですが、シューツリーがしっかり入っていないのが分かります。(これ以上は無理矢理押し込むしかない・・・)



特に、モデルによって異なるラストの形状や、甲の高さ、幅といった細かな部分まで完璧にフィットさせるのは、この一種類だけでは難しいのが現実です。

私が保有しているタッセルローファー(コードバン、アバディーンラスト)は、踵の部分が靴とシューツリーの形状がマッチしていません。

また、オールデンはローファーの名品がいくつもあるにも関わらず、ネジ式のシューツリーではありません。

では、なぜオールデンは、あえてこのようなシンプルなシューツリーを提供しているのでしょうか?

今回の記事は、メーカーの意図について、私なりの考察を紹介します。

目次

「形を整える」よりも「湿気を除去する」ことに特化?メーカーの意図を推測する

一般的なシューツリーの役割は、以前の記事で紹介した通り、履きジワを伸ばして型崩れを防ぎ、靴内部の湿気を吸収して乾燥を促すことです。


オールデンの純正シューツリーも、もちろんこれらの機能は持ち合わせていますが、その設計を見ると、特に後者、つまり「湿気の除去」に重きを置いているのではないかと考えられます。

  • 一時的なソリの回復:
    履いた直後の革靴は、足の熱や湿気で一時的に革が柔らかくなり、多少のソリや歪みが生じることがあります。オールデンのシューツリーは、この一時的なソリを戻し、靴の形状を安定させる役割を果たすでしょう。
  • 湿気吸収の特化:
    何よりも重要なのは、湿気の吸収です。オールデン純正シューツリーはレッドシダー製であり、その高い吸湿性は靴内部の湿気を効果的に取り除き、カビや悪臭の発生を防ぎます。これは、デリケートなコードバンにとっても非常に大切な要素です。

しかし、私が感じるに、オールデンは「シューツリーで長時間、過度に形を整える」という役割を、そこまで重視していないのではないか、ということです。

コードバン特有の「波打ち」とシューツリーの関係性

特にオールデンのコードバンシューズを愛用している方ならご存知の通り、コードバンは履き込むと、独特の美しいシワが入ります。

参照:https://forzastyle.com/


これはコードバン特有の現象であり、その靴が履き込まれた証であり、愛好家にとっては魅力の一つでもあります。

もし、シューツリーでこの波打ちを無理に伸ばそうとすると、コードバン本来のエイジングの魅力を損なってしまう可能性があります。

オールデンは、このコードバン特有の魅力を熟知しているからこそ、過度にテンションをかけてシワを伸ばすような、複雑なシューツリーをあえて提供していないのかもしれません。

彼らは、コードバンが持つ本来の姿を、自然な形で楽しんでほしいと考えているのではないでしょうか。

オールデン純正シューツリーの賢い使い方

このようなオールデンのシューツリーの特性を踏まえると、賢い使い方が見えてきます。

それは、「履いた日だけシューツリーをはめ、翌日には外す」という使い方です。

  1. 履いた直後に挿入:
    靴を脱いだらすぐにシューツリーを挿入し、足から出た湿気を吸収させ、一時的なソリや歪みを整えます。革が柔らかくなっているこのタイミングが最も効果的です。
  2. 一晩(数時間〜半日)で外す:
    一晩(または数時間〜半日程度)経ち、靴内部の湿気が十分に吸収されたら、シューツリーを外します。
  3. 風通しの良い場所で休ませる:
    その後、シューツリーを外した状態で、風通しの良い場所で靴を休ませます。

    こうすることで、コードバン特有の波打ちが自然に形成されやすくなり、革の呼吸を妨げることなく、靴を休ませることができます。

この使い方であれば、シューツリーの最も重要な役割である湿気除去と一時的な形状安定を効果的に行いつつ、コードバンならではの美しいシワの形成を邪魔することもありません。

また、シューツリーを複数持つ必要がなく、一つのシューツリーを複数の靴で使い回すことも可能になります(もちろん、その日の湿気具合によって靴を休ませる時間は調整が必要です)。

何より、オールデンのシューツリーを装着した靴は、独特のオーラを放っているため、このシューツリーは持っておいて損はないと思います。



余談ですが、このシューツリーは、海外出張でアメリカに行った時に、オールデン正規リテーラ(ALDEN AUTHORIZED RETAILERS)である購入したものです。

レジ前の一等地に、オールデンがずらり。



オールデンだけではなく、アメリカントラッドなアイテムで店内は溢れていました。



まとめ:オールデンの「流儀」を理解し、最高のエイジングを

オールデンの純正シューツリーは、一見するとシンプルで物足りなく感じるかもしれません。

しかし、その裏には、コードバンという特別な革の特性を最大限に活かせる、メーカーの深い思慮があるのでは、と私は考えます。

ただ形を整えるだけでなく、その靴が持つ「個性」を尊重する。
それが、オールデンの流儀なのでしょう。

私も、今回手に入れたオールデン コードバン Vチップには、この「履いた日だけ入れる」使い方を実践し、その美しいエイジングを存分に楽しんでいきたいと思います。

今日も読んで頂き、ありがとうございました。

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