傑作が台無し。J.M. WESTON 180を「安っぽく見せてしまう」落とし穴とは。

「自分らしさを磨き、“格”を仕立てるパーソナルスタイリスト」 紀村昌彦です。

靴好きなら一度は憧れる傑作、

「J.M. WESTON 180 シグニチャーローファー」

私のブログでも何度も紹介しているアイテムです。

その堅牢な革質、独特の丸みを帯びたフォルム、何より履き込むほどに自分の足と一体化していくフィット感。

まさに「一生モノ」と呼ぶにふさわしい一足ですよね。

しかし、街中でこの名品を履いている方を見かけるたび、時折「もったいない…」と感じてしまうことがあります。

それは靴の手入れの問題ではありません。

合わせるボトムスのシルエット」と「靴下の選び方」において、靴の魅力を半減させてしまっているケースが意外と多いのです。

10万円を超える投資をして手に入れた傑作なので、 せっかくなら、その魅力を120%引き出し、

「あの人、足元まで完璧だな」

と思われる装いをしたいですよね。

今回は、J.M. WESTON 180を最も美しく見せるための、ボトムスと靴下についてお話しします。

目次

なぜ、他のローファーと同じ「丈」ではダメなのか?

まず、この靴が他のローファーと決定的に異なる

「特徴」

を理解する必要があります。

世に多くのローファーが存在しますが、例えばイタリアブランドに見られるような

「ノーズ(つま先までの長さ)が長く、甲が低い艶っぽいローファー」

とは対極にあります。

J.M. WESTON 180の特徴は、

「ノーズが短く、甲が高い」という点、そして

「全体的に丸みを帯びたボリューム感」

にあります。

この特徴に対し、一般的なローファーと同じ感覚で、クッション(たわみ)ができる長さのパンツを合わせてしまうとどうなるか。

ノーズが短い分、パンツの裾が靴の大部分を覆ってしまい、足元が「ボテッと重く」見えてしまうのです。

シュッとしたローファーなら多少のクッションも逃げ場がありますが、180では、その余分な生地が野暮ったさに直結します。

黄金比①:ボトムスは「テーパード」

もちろん、フレンチアイビーのように、ストレートのデニムをラフに合わせるのも一つの正解です。

しかし、40代の大人がビジネスやスマートカジュアルという場で格を出すなら、「テーパード(裾に向かって細くなる形)」がオススメです。

私が推奨する形は以下の通りです。

  • シルエット:
    「緩やかなテーパード」 ボリュームのある180に対し、裾が広すぎると足元が重くなりすぎます。

    逆に細すぎるスキニーも、クラシックな靴の品格と合わないので、適度に絞られた方が、靴の丸みを最も美しく引き立てます。
  • 裾幅の目安:
    足のサイズにもよりますが、「靴のトップライン(履き口)より、わずかに広い程度」が黄金バランスです。

    これより太いと靴が隠れ、細すぎると足が大きく見えすぎてしまいます。
  • 丈の長さ:
    「ノークッション」または「ハーフクッション」 これが最重要です。

    目安として、甲のデザイン(カモメ型のベルト)に裾が「触れるか触れないか」くらいが良いです。

この条件さえ満たしていれば、イタリア製の専業ブランドのスラックスでも、ジーンズでも構いません。

下の写真は、国産レプリカジーンズ「RESOLUTE」を180に合わせた時の写真で、ジーンスのサイズはRESOLUTEのデザイナーである、林芳亨さんに合わせてもらいました。

上記で紹介した裾の長さになっていることが、よく分かります。

実際に購入した時も、丈が1インチ短いもの、長いもので3種類試着した中で、ベストの丈を選んで頂きました。

黄金比②:靴下は「繋ぎ役」に徹する

ローファーというと、

「素足履き(に見せるカバーソックス) 」

が定番ですが、日本のビジネスシーンや秋冬の装いにおいては、靴下を合わせるのが良いでしょう。

ここで絶対にやってはいけないのが、「中途半端な色」で遊んでしまうこと。

まず最初はシンプルに、

「ボトムスの色と靴下を同化させる」

これだけです。

  • ネイビーのパンツの場合:
    「ネイビー」の無地ソックス
  • グレーのスラックスの場合:
    「チャコールグレー」の無地ソックス

【理由】
パンツと靴下を同色にすることで、視覚的に「脚のライン」が足の甲まで繋がって見え、脚を長く、スタイルを良く見せる効果が生まれます。

靴に合わせてソックスを選ぶ手法もありますが、「脚長効果」を狙うなら、パンツ合わせが最も合理的で簡単な方法だと思います。

これ以外の色合わせの方法は、改めてご紹介しますね。

まとめ:主役はあくまで「靴」。他は引き立て役に。

J.M. WESTON 180という靴は、それ単体で強烈な存在感とオーラを持っています。

だからこそ、合わせるボトムスや靴下まで主張し合う必要はありません。

「シルエット」と「色の統一」

というルールを守るだけで、あなたの足元は劇的に洗練されます。

ぜひお手持ちのローファーを、鏡の前で履き、ボトムスとのバランス(特に裾幅と丈)を確認してみてください。

数センチの違いが、全体の印象を大きく変えることに気づくはずです。

追伸:
「じゃあ、具体的にどこのブランドのパンツがその黄金比を満たしているの?」

「コストを抑えつつ、このシルエットを手に入れるには?」

そんな具体的なアイテム選びについては、メルマガで配信していますので、賢くクローゼットを整えたい方は、ぜひ登録してチェックしてください。

今日も読んで頂き、ありがとうございました。

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